心の距離感と体の距離感のメカニズムで
人との距離が遠のく瞬間って何で起こるんだろうか・・・
それは、「幼少期の記憶」からきているものでした。
もし、心の距離感について理解できたら・・・と思っている方におススメの内容となっています。
今回は「幼少期からの記憶」から心の距離を見ていきたいと思います。
目次
心の距離感と体の距離感のメカニズム 幼少期の記憶

「心の距離感と体の距離感」
で一番大切になってくる部分がこの「幼少期の記憶」になります。
私たちは「過去の記憶」や「過去の体験」からでしか、人を理解することはできません。
逆に、私たちの「過去の記憶」や「過去の体験」から相手の事を「理解」しようとしてしまうので、
思いがけない所でメンタルブロックがかかり、人との距離を取ってしまいます。
ですので、この「幼少期の記憶」が今後の人生の命運の分けてしまう可能性すらありますので、
ここでは「幼少期の記憶」の大切さについてお話を進めていきたいと思います。
今回もよろしくお願いします。
幼少期の触れ合い

人は、幼少期の養育者の親密な接触が
「心の温かさ」
を決めています。
この内容に関しては「皮膚温」の観点からみた実験データがありますのでご紹介したいと思います。
オランダの心理学者 ハンス・イジュルマンさんの実験より
手順:
子供たちを二つの部屋に入ってもらいました。
- 室温21℃~26℃の部屋
- 室温15℃~19℃の部屋
皮膚を冷やした子供と皮膚を温めた子供を分けて協力的な行動を観察した。
結果:
皮膚を温めた子供たちの方がシールを分け合う等の協力的な行動が増えた。
結論:
皮膚を温めるのを繰り返すことによって、将来温かい人間関係を築けるようになる。
と思っていましたが、詳しく調べてみると・・・
この効果は「安定型の愛着関係が築かれている子供だけ」に見られる現象だった。
ですので、
人は、幼少期の養育者の親密な接触が「心の温かさ」を決めています。
幼少期の心の温かさ

愛情の根源は
「皮膚への温かい感触」
によるものです。
なぜなら
人は物から安心感を得る事よりも
「皮膚への温かい感触の方が安心感を得られる」
からです。
ここで少し有名な実験を紹介したいと思います。
アメリカの心理学者 ハリー・ハローさんの赤毛ザルの実験より
手順:
生まれたばかりの赤毛ザルの赤ちゃんを「2つの代理母で育てる」実験をした。
- 代理母は針金で出来た冷たい「ワイヤーマザー」を用意。
- もう一つはヒーターで体温くらいに温められた「クロスマザー」を用意。
8匹の赤毛ザルの赤ちゃんを各1種類ずつゲージに入れ、「クロスマザー」と「ワイヤーマザー」を分けていれた。
- 4匹は「ワイヤーマザー」の胸に取り付けられた哺乳瓶から授乳。
- もう4匹は「クロスマザー」から授乳した。
結果:赤毛ザルの赤ちゃんは、「クロスマザー」を好む傾向にあった。
結論:
愛着は授乳による欲求の充足よりも、「柔らかくて暖かい肌の接触」によって形成されます。
よって「スキンシップ」の重要性を立証したのです。
この実験の内容から見ても、愛情の根源は「皮膚への温かい感触」によるということがわかります。
愛情の具体的なイメージとは

ここは少しコラム的な内容になりますが
「母親が自分を危険なときに守ってくれる」
という心の中にあるイメージと考えられています。
「愛着を赤毛ザルの赤ちゃんの実験で掛け合わせたイメージ」を具体的にすると・・・
- 柔らかくて温かく、自分の体温を守ってくれるもの。
- 心地よい触覚を与えてくれる存在である。
- しがみ付く事ができる身体がある。
- 抱きかかえてくれる腕を持ってくれる人。
この4つに置き換えることもできます。
もともと、「育む」という日本語は「はねでククム」から「はぐくむ」と言われています。
この内容についても次のお話で進めていきたいと思います。
包み込まれるやさしさ

人は、
「深部体温が上昇すると回避型の愛着スタイル」
になりやすいです。
というのも、
危険を感じた時に皮膚の血管を収縮し「深部体温」を上昇させ自分の身体を守ろうとします。
逆に、「皮膚に触れてを温める」ことによって、「深部体温を低下させる」ことができます。
この「危険を感じるのが人間」でしたら、親しい人間関係を避け、傷つけられるのを防ごうとします。
これを「回避型の愛着スタイル」といいます。
ここでいつもの実験内容をご紹介したいと思います。
スウェーデンの生理学者 シャスティン・ウヴネースさんとモヴェリさんの実験より。
手順:
生まれて間もない赤ちゃんを三つのグループに分ける。
- 洋服を「6枚重ね」その上から「毛布で包み」体温の低下を防ぐ。
- 洋服を2枚重ね母親が「腕」で抱く。
- 洋服を2枚重ね母親が「胸」で抱きしめる。
結果:
③の「皮膚温」が高く①の「洋服を6枚重ね」「毛布で包み」込んだ赤ちゃんが一番低かった。
結論:
衣類で身体を温められるよりも「人肌でしっかり抱きしめてあげる」事が赤ちゃんの体温の低下を防ぐ効果が高かった。
生まれた赤ちゃんの「皮膚温」と「深部体温」は殆ど差がなく皮膚温が大きく低下してしまうことがわかりました。
ですので、生まれてすぐ抱くことは赤ちゃんの低体温を防ぐのに効果があります。
身体が温まり、心も温まることで安心と愛着が生まれるのです。
また、ブタを用いた実験でも母親から分離した実験をしたが
結果は深部体温が上昇し、子ブタはうつ状態が見られた。
母親が子供から離れ、「子供の抱きしめてほしいサイン」に気がついてあげる事ができなければ、
ストレスを感じ「深部体温が上昇すると回避型の愛着スタイル」になってしまうのです。
次は、その母親と子供の関係性についていきたいと思います。
同期同調

母親の心拍リズムが赤ちゃんの心拍リズムに同調し、1秒以内に伝わることがわかっています。
なぜなら
イスラエルの心理学者 ルースフェルドマンさんの実験より
手順:人から否定的な評価を受けている母親が泣いている赤ちゃんを触れてなだめる。
結果:赤ちゃんの自律神経や心拍数などの生理反応が母親と同期したことを発見した。
結論:母親にストレスがあると、母親の皮膚の温度が低下し、その変化が赤ちゃんに伝わりストレスとなる。
また、赤ちゃんの皮膚の温度が下がると相手との距離を遠ざけることをもわかりました。
そして「愛着回避型」のような人間関係となる。
逆に赤ちゃんの体温変化も母に伝わります。
このようなことから
母親の心拍リズムと赤ちゃんの心拍リズムに同調し、1秒以内に伝わるのです。
不安型の人が疲れやすい理由

先程の続きで、「愛着回避型」は非常に疲れやすいです。
なぜなら
一人でいる場合、全て自分で対処しなければならないと思い
その時点で「ストレスと向き合う」ことでエネルギーを消費するのです。
▶ストレスに関する記事はコチラで徹底解説しています。
そして問題解決をしなければならない場合
更にそのエネルギーを投下しなければならないので
困難に感じエネルギーを節約するために休息して行動しないのです。
アメリカの心理学者 ロジャー・ヘンリセンによると
不安定型の愛着の人は、「セルフケア」に対して困難さを感じてしまう人が多いといいます。
このようなことから
信頼できる人間関係を作り自分の不安になる負担を減らし
行動しやすい環境を作り出す方がビジネスや勉強においても建設的です。
ですので「愛着回避型」は非常に疲れやすいのです。
うつ病と糖尿病の関係性
うつ病になりやすい人は「糖尿病になりやすい」です。
これは、イスラエルの心理学者 サチ・エインドーさんの研究より
手順:
他者と親しくなるのを避ける女性と他者と親しくしやすい女性に参加してもらう。
- 「二人で協力して課題を解いてもらう」
- 「一人で課題を解いてもらう」
の二つのグループに分ける。
その後、研究の謝礼にチョコレートを置いて「好きなだけ食べてください」と言い実際に食べてもらった。
結果:
他者と親しくなるのを避ける人ほど、たくさんのチョコレートを食べることが分かった。
結論:
親密さを避ける人ほど、一人で物事を対処しなければならないで、それに備えて糖分を大量に摂取したのだ。
このようなことから、うつ病になりやすい人は「糖尿病になりやすい」のです。
まとめ

それでは今回もまとめていきたいと思います。
人との距離感に差が出やすくなってしまうのが
「幼少期の母親との親密な接触」が
「心の温かさ」を決めています。
身体を温めると優しくなったりするのも
全ては
幼少期の記憶からフィードバックされるものです。
そして、子供の抱きしめてほしいサインにできるだけ気がついてあげる事ができたら、愛着型の子供に育っていきます。
仮にそう育てられなかったとしても、人は信頼できる人間が近くにいるだけで心の負担が減り、前向きに頑張れることができます。
ですので、穏やかに優しく寄り添って上げれることができたら、自然と人との距離感は縮めることができます。
今回は以上となります。
最後までお読みいただき誠にありがとうございます^^b